「ずっと付き合っていたら他の犯罪にも加担させられていて、脅迫されていたかも知れないよ?」の無賃入場事件の後でしばらくして、友達不信に陥った私に、ひっそりと近づいてきた、それまでクラスでは目立たなかった一人の女の子がいました。
この子がどうして私に近づいたのか…
やはり、帰り道が同じなのです。
ある曇った6月の日に、
「家でアイスでも食べていかない?」
とその子から誘われたと記憶しています。
6月になっていたということは、中一の話だったと思います。
食料品店を営んでいたその子の家に誘われ、暗くて古い3階建ての家に誘われたのです。
その時も、彼女は人と目を合わせずに話す、たまに目を合わせるとセカオワの深瀬のように虚ろな光の無い目を向けてくる子でした。
仮に、彼女のことを世紀末子と呼ぶことにしましょう。
彼女の家の中もとにかく暗い。
足音を立てずにいつの間にか彼女の家族が背後にいる。
健全な家族が生活を営んでいるとは思えない、病的でホラーな空間でした。
最初は音楽や小説、コミックの話をし、中学生になった私はその子が持ってくる文化的な香りのするネタに夢中になりましたが、とうとう彼女の家には馴染めずにいました。
たいていその日の話題、事件事故文化芸能など有名人の話や話題の店や流行などの話を持ってきます。
後で気づいたのですがこれらのものは全てある関連性があり、彼女は毎日毎日、ステマを流していたのでした。
その証拠に、話題豊富で物知りに見える彼女に、たまに私から話を振ると「知らない」「関心が無い」と言って自分の話題に強引に戻してしまうのです。
私が持ってきた話題や音楽には関心が無くとも取り合えず聴くとか、それを中心に話すということは、絶対しない、出来ない子でした。
私は友達の話すことだから、取り合えず聞いていたんですけどね。
博識に見えるのに、精神病者か罪人のように目つきはおどおどきょときょと、なんか心はいつも一杯一杯で人の話を聞いてない。
成績も中~中の下。
なのに上から目線、と言う不思議な子でした。
つづく。
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