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被害怖しとな

磐戸 日が無し

2015年9月3日木曜日

その子はいつもおどおどきょろきょろ、決して目を合わせることはありませんでした。(2)

暗い(不気味)・・・

なんか怖いな・・・

彼女の家に行くといつもそう、感じていました。

なぜかというと、私とは母は当時マンション住まいで、

きれい好きな母と夢想家の私が選んだ調度や照明が窓の大きな白い壁の部屋に映えて、

新しく、清潔で明るい空間に保たれていたからです。

あと私と母の天真爛漫で明るい気性から出るオーラでしょうか?

海のように青いカーペットに置かれた最新のオーディセットから流れる彼女から教わったクラシック名盤を私も母も楽しんでいました。

 
彼女は、なぜか私の母が好きで、いつもまぶしそうに母を見ていました。

実際彼女は私の母について、尊敬している、羨ましいとも口にしていました。

言わぬは花ですね。
しかし母のほうでは、彼女を嫌っていたのです。


実は私と彼女は、お互いの家族について、非常な不満を持っていて、よく泣きながら語り合ったりもしました。

彼女はあまり自分のことは語りませんでしたが、かなり大変だったと思います。家の雰囲気からして。


あるとき遊びに来た彼女が、深刻に思いつめた顔をして、母が帰ってきた時も家に帰らない日がありました。

(何かあったんだ…)

そう思って話しかけても、彼女は何も話しません。

無表情に黙って、私の部屋の隅に座り、何時間もそうしていました。

とうとう母親が切れて、すごい剣幕で「出て行きなさい!」と彼女を追い出してしまいました。

彼女が玄関に向かっているときも、大声で文句を言っていました。


帰ってくると母は私を見て、

「ねえ、私あの子は気に入らないのよ。あなたの友達でも澄ちゃんは良かったわねえ~明るくて素直で」

(いやでも私はその子のおかげで犯罪者の仲間入りをさせられそうだったんですけど)

(いくらホラーな家屋で根暗で焦点合ってない目をしてるからって
犯罪?常習者?の子よりましじゃないってことはないと思うし)


少なくとも彼女は犯罪者になる子には見えなかったし。










つづく。

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